「S&P500は危険」は本当?シニア投資家が抱えるオルカンとS&P500に関する5つの誤解を解く

「S&P500は危険」「オルカンは安心」は本当?新NISAで人気の2大指数について、シニア投資家が抱えがちな5つの誤解をデータで徹底解説。あなたの老後資金に最適な選択をサポートします。

この記事のポイント 「S&P500は危険」「オルカンなら絶対安心」…そんなイメージ、本当でしょうか?この記事では、新NISAで人気のオルカンとS&P500について、シニア投資家の方が抱えがちな5つの誤解を最新データと共に解き明かし、あなたの退職金運用に最適な選択をサポートします。

 

老後資金の運用について相談するシニア夫婦。テーブルの上には世界地図が広げられている。
大切な老後資金の運用。ご夫婦でじっくりと、世界に目を向けた選択肢を考えてみませんか?


「長年勤め上げた会社の退職金、銀行に預けておくだけではインフレで価値が目減りしてしまう…」「新NISAが良いと聞くけれど、オルカンとS&P500、一体どちらを選べばいいのか分からない…」そんなお悩みを抱えていらっしゃるシニア世代の方は少なくないでしょう。

特に、「S&P500は米国の株だけだから危険」といった話を耳にすると、大切な老後資金を投じることに不安を感じてしまいますよね。

この記事では、そんなシニア投資家の方々が抱える疑問や誤解を一つひとつ丁寧に解消していきます。ご自身の投資スタイルに合った、納得のいく選択ができるよう、一緒に学んでいきましょう!😊

 

🤔 シニア投資家が抱える5つの誤解

新NISAのつみたて投資枠で「オルカン」と「S&P500」は、まさに二大巨頭です。しかし、人気があるからこそ、多くの誤解や思い込みも生まれがちです。ここでは、特にシニア投資家の方が陥りやすい5つの誤解を、最新のデータに基づいて解き明かしていきます。

誤解1:「S&P500は常にオルカンより儲かる」

確かに、過去5年、10年といった長期的な視点で見ると、米国経済の力強い成長を背景にS&P500がオルカンを上回るリターンを記録してきました。

しかし、「常に」そうであるとは限りません。最新のデータ(2025年11月10日時点)を見ると、直近の1ヶ月や6ヶ月のリターンでは、オルカンがS&P500を上回っています。

これは、米国以外の国や地域が好調な時期には、オルカンの分散効果が有利に働くことを示しています。将来どの国が成長するかは誰にも予測できません。

過去の実績はあくまで過去のものであり、将来のパフォーマンスを保証するものではないことを理解しておくことが重要です。

 

オルカンとS&P500のパフォーマンスを比較する折れ線グラフ。期間によって優劣が入れ替わっている様子。
長期では米国株が優勢でも、局面によっては全世界株式が力を発揮することもあります。


誤解2:「オルカンは全世界に投資しているからリスクが低く安心」

「全世界株式」という名前から、世界中の国々に均等に分散投資されているイメージを持つかもしれませんが、実態は少し異なります。

オルカンの構成比率を見ると、実は約6割が米国株式で占められています。つまり、オルカンもまた、良くも悪くも米国経済の動向から大きな影響を受けるのです。

もちろん、S&P500(米国100%)に比べれば地理的な分散は効いていますが、「オルカンだから米国市場の暴落は関係ない」というわけではない点は、しっかり認識しておくべきでしょう。

💡 おさえておきたいポイント
オルカンは「世界中に広く浅く」というよりは、「米国を中心に、その他の国々にも分散投資する」というイメージで捉えると、より実態に近くなります。

誤解3:「S&P500は米国だけへの集中投資だから危険」

投資先が米国一国に集中しているため、カントリーリスクがあることは事実です。しかし、「危険」と一括りにするのは早計かもしれません。

S&P500に採用されている企業は、マイクロソフトやアップル、エヌビディアといった世界的な大企業ばかりです。

これらの企業は米国に本社を置いていますが、そのビジネスは全世界で展開され、収益を上げています。

つまり、実質的にはグローバルなビジネスに投資しているとも言えるのです。投資国は米国のみですが、その中身は世界経済の成長を取り込んでいる、という側面も持っています。

 

世界地図上にS&P500構成企業のロゴが配置され、グローバルな事業展開を示しているイラスト。
S&P500は米国企業への投資ですが、そのビジネスは世界中に広がっています。


誤解4:「どちらか迷ったら、両方買っておけば安心」

分散投資の観点から、両方に投資するという考え方もあります。しかし、前述の通り、オルカンの約6割は米国株式で、その中身はS&P500の構成銘柄と大きく重なります。

そのため、オルカンとS&P500を両方購入すると、意図せず米国への投資比率が極端に高まってしまう可能性があります。「分散したつもり」が、結果的により集中投資になってしまう危険性があることは注意が必要です。

もし両方持ちたいのであれば、ご自身のポートフォリオ全体で米国への比率がどのくらいになるのかを意識することが大切です。

 

オルカンとS&P500の構成銘柄を示す2つの円グラフが重なり合っており、多くの部分が共通していることを可視化している図。
オルカンとS&P500。実は中身の多くが重なっていることをご存知でしたか?


誤解5:「信託報酬が少しでも安いオルカンの方がお得」

eMAXIS Slimシリーズはどちらも業界最安水準の信託報酬を誇りますが、確かにオルカン(0.05775%以内)の方がS&P500(0.0814%以内)よりもわずかに低コストです。

しかし、この差は100万円を1年間運用してもわずか237円程度です。もちろんコストは低いに越したことはありませんが、それ以上にリターンの差の方が資産全体に与える影響は大きいです。

信託報酬のわずかな差だけで判断するのではなく、これまで見てきたような投資対象やリスク特性を総合的に理解し、ご自身の投資方針に合った方を選ぶことが最も重要です。

 

📊 データで見る基本情報の違い

誤解が解けたところで、改めて両者の基本的な違いをデータで比較してみましょう。ご自身の考え方がどちらに近いかを確認する材料にしてください。


オルカン vs S&P500 特徴比較表

項目 eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
投資対象 全世界の株式(先進国・新興国) 米国の主要企業500社
投資先の国数 約50カ国 米国のみ
国別構成比率 1. 米国(約6割) 2. 日本 3. 英国… 米国(100%)
信託報酬(年率) 0.05775%以内 0.0814%以内
⚠️ ご注意ください!
上記データは2025年11月11日時点のものです。信託報酬や構成比率は変更される可能性がありますので、投資を検討する際は必ず最新の月次レポートや交付目論見書をご確認ください。

 

✨ 結局どっち?タイプ別おすすめ診断

【安定・分散志向の方】: オルカンがおすすめ
将来どの国が成長するか予測は困難。世界経済全体の成長をまるごと享受したい、という考えの方に最適です。

【成長・集中志向の方】: S&P500がおすすめ
今後も米国が世界経済を牽引すると強く信じ、より高いリターンを狙うためリスクを取れる方に適しています。

【共通の心構え】:
長期・積立・分散が成功の鍵

【結論】: 優劣ではなく「相性」で選ぶ
どちらが優れているかではなく、ご自身の投資哲学やリスク許容度にどちらが合っているかで判断しましょう。

✍️ まとめ:ご自身の投資方針に合った選択を

 

新NISAに関する書籍を読みながら、穏やかな表情で窓の外を眺めるシニア男性。納得のいく資産運用を象徴している。
正しい知識で納得のいく選択をすることが、心穏やかなセカンドライフにつながります。


今回は、シニア投資家の方が抱えがちな「オルカン」と「S&P500」に関する5つの誤解について解説しました。「S&P500は危険」というイメージも、その中身を理解すれば、また違った見方ができたのではないでしょうか。

最終的にどちらを選ぶべきか、という問いに唯一の正解はありません。大切なのは、それぞれの特徴とリスクを正しく理解した上で、「ご自身の考え方や大切にしたいことは何か」を基準に選ぶことです。

この記事が、あなたの心の中のモヤモヤを解消し、自信を持って大切な老後資金の第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

❓ よくあるご質問

Q: ❓ 投資経験が全くないシニアですが、結局どちらから始めるのがおすすめですか?
A: もし本当に迷われるのであれば、より幅広く分散が効いている「オルカン」から始めるのが王道とされています。「これ1本で世界経済の成長に乗る」という分かりやすさが、初心者の方には安心感につながるでしょう。
Q: ❓ 60代、70代から新NISAを始めても遅すぎることはないでしょうか?
A: 全く遅くありません。人生100年時代と言われる現代では、60代からでも20年、30年という長期的な資産運用が可能です。大切なのは「始めないこと」のリスクを理解し、少額からでも一歩を踏み出すことです。
Q: ❓ もし投資を始めた後に株価が暴落したらどうすればよいですか?
A: 積立投資の強みは、価格が下がった時に「安くたくさん買える」ことです。慌てて売却(狼狽売り)してしまうのが最も避けるべき行動です。むしろ、淡々と積立を継続することで、将来価格が回復した際に大きなリターンを期待できます。動揺しないためにも、余裕資金で投資することが大原則です。
Q: ❓ NISA口座はどの証券会社で開設するのが良いですか?
A: ネット証券の「SBI証券」や「楽天証券」が人気です。どちらも取扱商品が豊富で、手数料も業界最低水準です。スマートフォンでの操作のしやすさや、普段お使いのポイントサービスとの連携などで選ぶと良いでしょう。
Q: ❓ ある程度利益が出たら、いつ売却すれば良いのでしょうか(出口戦略)?
A: 新NISAには非課税期間の定めがないため、急いで売る必要はありません。一般的には、老後資金として使う分だけを、毎年少しずつ取り崩していく方法が推奨されます。例えば「定率(毎年資産の4%ずつなど)」で取り崩すことで、資産を長持ちさせながら活用することができます。

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